研究

ご挨拶

教授 早野 順一郎

Hayano Bio-Signal Laboratory (HBSL)の歴史は、1986年に名古屋市立大学医学部第3内科で研究活動を開始した1研究班に遡ります。当初は、豊田工業専門学校(現在の豊田工業大学)の協力を得て、心電図のコンピュータ処理によるR-R間隔の自動計測システムの開発を行い、その後、心拍変動解析として広く世界に認知されるようになったR-R間隔のゆらぎ解析による心臓自律神経機能評価法の確立に貢献しました。また、冠動脈疾患重症度と心臓迷走神経機能低下の関連の発見、心拍変動による心房細動の予後の予測、心拍変動成分の連続解析法complex demodulationの開発などを世界に先駈けて行いました。2007年1月に、名古屋市立大学大学院医学研究科・医学・医療教育学分野の新設と共に同分野に移動し、分野の研究室として現在に至っています。

研究室のメインテーマは、生体信号のゆらぎの科学です。ゆらぎはノイズとみなされ、永く分析の対象にされて来なかった歴史がありますが、そこには様々な生体調節系の活動が反映されており、様々な疾患の他の方法では得られない発症や死亡リスクの予知に有用な情報も含まれています。

当研究室では、ゆらぎの生理学的および生物物理学的意義の解明から、その健康科学および医学への応用、さらにはゆらぎの分析を利用した製品の開発を行っています。ゆらぎに注目することによって、知り尽くされていると思われる生体指標からも、常識を越えた新たな発見があります。ここは、科学的挑戦と醍醐味、エレガンスとロマンに溢れたとても楽しい世界です。医学、工学、データサイエンスなど様々な分野の方を歓迎しますので、少しでも興味のある方は、是非、ご一報いただき、研究室をお訪ね下さい。


教授プロフィール

Profile

1955年7月17日 生まれ。内科医(専門は循環器内科と心療内科)。生まれ育ちとも名古屋市。明和高校出身、名古屋市立大学医学部昭和55年卒。1981年から九州大学医学部精神身体医学講座に3年間国内留学。心身医学を学びつつコンピュータプログラミングに嵌まる。1990年に米国Duke大学メディカルセンター行動医学研究所に留学。2003年より名古屋市立大学の医学教育改革を担当、2007年に医学・医療教育学分野新設と共に現職に就任。研究テーマは、生体信号のゆらぎの生理的・生物学的意義の解明,および長期間の連続生体信号とそのビッグデータを利用した生体機能および病的現象のセンシング,モニタリング,およびモデリングによる予測と制御.専門は神経性循環調節と統合生理学。生体信号処理のプログラムミングが得意です。

【趣味】カメラを持ってトンボや蝶を追う自然探索、ドライブ、クラッシック音楽。
【好きな場所】乗鞍高原、弥陀ヶ原、モルディブ。

【Email】 hayano@は画像です半角文字@に置き換えてくださいmed.nagoya-cu.ac.jp


現在の研究

生体信号のゆらぎの生理的・生物学的意義の解明,および長期間の連続生体信号とそのビッグデータを利用した生体機能および病的現象のセンシング,モニタリング,およびモデリングによる予測と制御の研究を行っています.具体的な内容は以下の通りです.

  1. 生体信号のゆらぎの生物学的役割
  2. 生体制御情報としての生体信号のゆらぎ
  3. 日常活動下の心電図,脈派,身体加速度信号などの解析とその応用
    ① 心血管疾患の病態解明と予後予測
    ② 睡眠兆候の検出と睡眠ステージ判定
    ③ 睡眠時無呼吸の検出とリスク予測
    ④ 脈波による心拍変動解析
    ⑤ 自己健康管理モデルの開発
    ⑥ 健康寿命の延伸のためのリスク評価とその管理
  4. ホルター心電図,加速度信号のビッグデータの構築とその活用
  5. その他

コア・コンピタンス

1. 生体信号のゆらぎとストレス、休息、自律神経機能の関連メカニズム

  1. 心拍のゆらぎ解析 heart rate variability (HRV) since 1986
  2. 自律神経機能評価、呼吸性洞性不整脈(RSA)と身体休息機能 2003

2. 心拍のゆらぎによる健康リスクの予測モデル

  1. 24時間心電図による心拍ダイナミクスの解析 since 2007
  2. 疾患の死亡リスクの予測(急性心筋梗塞、心不全、末期腎不全、心房細動) since 1990

3. 生体信号処理アルゴリズムの開発

  1. 非定常状態の心拍変動の連続解析法:complex demodulation(CDM)  1993
  2. 脈拍周波数の連続抽出法:pulse frequency demodulation (PFDM2005
  3. 心拍による睡眠時無呼吸の検出法:auto-correlated wave detection with adaptive threshold (ACAT)  2011, 2015
  4. 睡眠時無呼吸に対する心拍数応答(CVHR)よる予後予測(Acv)  2016
  5. NREM睡眠の新しい心拍変動指標による入眠時刻の推定(Hsi)  2017
  6. 心拍数変動パターンによる運転中の眠気の検出2017

4. 日常活動下の心電図、身体加速度ビッグデータ・プロジェクト

ALLSTAR project: Allostatic State Mapping by Ambulatory ECG Repository
300,000件の 24-hr Holter ECG data (2007-2013) +50,000件/年 since 2007
http://www.med.nagoya-cu.ac.jp/mededu.dir/allstar/index.html詳細へ

5. 照明環境が生理機能に与える影響とその制御

詳細へ

6. センサーデバイスの開発

腕時計型脈波センサ、ベッドシート呼吸・脈拍センサ、など詳細へ

プロジェクト

  1. バイオメディカル・ビッグデータ研究会(幹事):
    日本生体医工学会専門別研究会のひとつとして,心電図、脈波、呼吸、脳波、加速度などの生体信号時系列データと健康診断や医療機関から得られるパーソナル・ヘルス・レコードなどを含むバイオメディカル・ビッグデータについて,研究成果の発表と討論、講演会の開催、情報の収集と発信を行っています。研究テーマとしては,(1)データの計測と収集,(2)データベースの構築、管理、運用,(3)分析法・指標の開発,(4)解釈および社会還元,(5)法的問題、セキュリティー問題、倫理的課題とその解決法などが含まれます.バイオメディカル・ビッグデータに関心のある研究機関および企業等の研究者、大学院生、学生の方を対象として,東京、名古屋、大阪、または日本生体医工学会および関連学会等の開催場所において年4回開催しています.
  2. Allostatic State Mapping by Ambulatory ECG Repository (ALLSTAR):
    全国で記録されるホルター心電図データから、環境因子が健康や疾患に与える影響の新しい評価方法を確立し、ホルター心電図の医療における利用価値を高めるとともに、長寿社会における予測・予防医療の推進に貢献します。
  3. 愛知県「知の拠点」重点研究プロジェクト (分担研究): 
    脳・心臓・血管系等に関連する生体情報を無侵襲・低侵襲で継続的に計測するための高感度な計測技術とデバイスの開発を目的に、動脈硬化・心臓病などを低侵襲で早期に発見する装置開発します。特に、脈派による血管内皮機能評価装置の開発、日常生活下の活動量と循環動態の腕時計型モニタリング装置の開発、大規模ホルター心電図データベースを用いた心疾患の予後判定指標に対する年齢,性別,気象,災害の影響の検証、睡眠時無呼吸に伴う心拍数周期性変動の特徴から死亡率を予測する手法の開発を行います。
  4. 産学連携共同研究:
    当研究室では,多くの企業の皆様と産学共同研究を進めております.また,常に新たな共同研究のご提案をお待ちしていますので,上記のコア・コンピタンスをご参照頂き,当研究室がご協力できそうなことがありましたら,是非ご連絡ください.